家のことをもっと知るために
民家フォーラムでのひとこま。これは、古い家の柱の端材をつかったたのしいコースター作りの風景である。焼き印を押したり、様々な色の自然塗料を塗ったり、お子さん連れの楽しそうな姿もみられた。
化学物質に囲まれた暮らしに慣れてしまった私たちだが、塗料には昔から防虫や殺菌、腐敗防止のためにいろいろつかわれてきたものがある。色も様々で、柿渋の茶色、酸化鉄のべんがら色、ベニハナの山吹色、木灰の黒、どれも着色だけでなく、いろいろな効果があるのがすごい。
今ではシロアリ駆除や、防腐処理に安易に有害物質を多く含んだ化学薬品を使う傾向があるが、わたしたちはどうしても使いたくない。土台にはヒバやヒノキなど耐腐朽性の高い素材を使えば、シロアリ駆除は不要であるし、雨のかかるところには、ヒバ、ヒノキ、サワラなどを使ってあげればよい。
私たちは土台や柱には、念のために柿渋を塗ったりしてはいるが、用を終えたときにはいつか自然に返す物なのだからと考えればこそ、化学薬品は使いたくない。
そして、長く冬に閉ざされる新潟の気候を考えれば、家を閉め切った暮らしにあった素材選びもしなくてはならない。建材に対するVOC規制が強化された今でさえ、シックハウス症候群がなくならない。静かに健康な暮らしを蝕んでいる化学物質のことをもっと、深刻に考えなくてはならないと思うと、むかしの人の知恵に改めて学ぶところがまだまだあるものである。