Y邸
経年による地盤沈下、幾度の地震による傾き、漏水による屋根の欠落、土台廻りや柱の腐食など想像以上に痛みが激しくひどい状態でした。現状のままでの修繕は無理と判断申し上げました。
この家はその昔、庄屋級の家柄で、現地調査でこの建物の建てられた年代が和釘の使用により明治13~14年頃とわかりました。なるべく元通りに直し、使える材は再利用してもらいたいとのことでした。
一旦解体して腐食した部分のみ新しい材料に取り替え、使える材料は極力使用することなど地盤改良、地震対策を考慮したうえで利用解体それを再構築することにし、確認申請(改築)を行うことにしました。
以上の要件に同意していただいたうえで再生への歩みとなりました。構造材は135年位経っていますがまだまだしっかりしていました。解体時に外した床板、書院、床脇などは再利用しています。補充使用材料はすべて国産材としました。
壁はすべて漆喰塗り使用としました。塗装は柿渋の古色を使用しています。
元々暗い部屋の連続でしたが窓からの採光を重視しました。また、居間の照明器具は昔使っていた田ごろを半分に切って和紙を貼り照明レールを付けLED100W相当を3個付け使用しています。
耐震化は令46条による壁量計算により存在壁量の算定を行いバランスのよい耐力壁の配置を行い構造用合板による耐力壁の補強を行いました。
外観は昔の面影を残す雨板張りとし、小壁は漆喰、屋根は焼瓦葺となっています。
トイレ、流し台、風呂は新しく現代の生活様式としました。元通りになった座敷と茶の間など空間が広いので、冬の寒さ対策としては建物全体を遮熱、断熱化を図り窓ガラスはペアガラスを使用しています。